2009年6月28日日曜日

壊す、怒鳴る、発砲するペ

昨日はウディ・アレン『それでも恋するバルセロナ』、ハビエル・バルデム、スカーレット・ヨハンソン他を、新宿ピカデリーで見た。

冒頭、ジウリア・イ・ロス・テラリーニというバンドの「バルセロナ」という曲が流れて、これがまたすばらしい。バルセロナの駅の外壁とタクシーの色彩のバランスはウディ・アレンというよりもアルモドバルを思わせる。途中、野外での親密な人々のみに取り囲まれた小音楽会のシーンが出てくるのだから、これはもう本当にアルモドバル。

そういえば、ペネロペ・クルスも出ていた。

ペがアカデミー助演女優賞をもらった作品だった。誰かが言っていた、英語で話すときのペネロペってわざとらしく舌足らずな感じなのよね、と。で、今回はスペイン語になったり英語になったりだが、破滅型の芸術家を演じて、なるほど、きっとアメリカ合衆国の観客にはこんなペネロペは新鮮なのだろう、という印象。

その後、本屋を冷やかしていると、こんな一冊を見つけた。

佐竹謙一『概説 スペイン文学史』(研究社、2009)

主に演劇を扱ってきた佐竹氏が詩や小説にも目配りして、20世紀までを概観した一冊。

夜は大学時代の友人たちと飲む。

2009年6月23日火曜日

トンチンとはなんぞやととんちんかんに質問する

法政には比較経済研究所というのがある。専任教員が任期付きでそこの所員を兼ねる。現在所長をしている人が、ぼくが3時限の授業を終え、4時限の演習の授業に向かおうとしていると、大教室の前で手招きしていた。

これから比較研の講演だから学生つれて聴きに来てくれよ。

というわけで、急遽、今日の授業は講演を拝聴することとなった。坂本優一郎さん(大阪経済大学)の「軍事・財政国家と投資社会の起源」

イギリスの18世紀を、従来の弱い国家と見るのでなく、「軍事・財政国家」として見直すジョン・ブリュア(『財政=軍事国家の衝撃』)の議論を受け、その時代のイギリスに「投資社会」の成立を見ようとする試み。「トンチン式年金」というものの導入による財政の作り方など。なかなかに面白かった。

何かに追い立てられている

東海地方ではロラン・バルトがよく読まれている。とりわけ静岡県GLI市と同GLE市では、バルトを知らなければ中学に入れない、というほどの勢いだ。

統計資料を示されながらそんな説明を受ける。ちなみに、GLI市GLE市というのは、頭文字や略語でなく、こんな名の市が存在する。

……という夢を見て目覚めた。

いったいぼくは何を抑圧しながら生きているのだろう? 

授業でバルトの話をしようと思っていたわけではない。不思議だ。

2009年6月22日月曜日

雨が降る、イワシが降る


雨のしたたるあじさい。こんなものに涙を落とす日々。

……なんちゃって。

なにやら忙しかった。ぼくらの仕事にも秘密にしなければならないものがいくつかあって、そんなものにかかずらわっていた日にゃ、がんじがらめになる。

そうこうする間も、何の因果か、「ヨーロッパを考える」などという授業の担当回が差し迫ってきて、さて、どのように授業を組み立てたものかと思案に暮れる。

6月の5日、ペルーの軍隊がアマソニーア地方の住民と衝突して犠牲者が出た事件に関連して、所属する学会の所属するグループが声明などを出し、その賛同を得ようとしてMLで呼びかけ、みんながそれに返答する形で賛意を表明するものだから、たまりかねて、頼むよ、こうしたことは差出人だけに返答しようよ、と訴える者があり、いや、その気持ちはわかるのだけど、こうした場合だからMLメンバー全員に知らせることが必要なのだとの反論も寄せられ、メールボックスにメールがあふれた。

ぼくたちはこうした厄介さとつきあわなければならない。

今日、大学に着いたら、ちょうど行き交った2年の学生から、「先生は学生時代、どんな学生でしたか?」「なんで今の職業に就こうと思ったんですか?」との本質的な質問。彼らは彼らなりに人生の厄介さに思い悩んでいるらしい。

『1Q84』は暴力と可能世界、オウム真理教に取材した成果であろうある種のコミューンのあり方などが展開されていて、気に入っている。実は、たとえば『ねじまき鳥クロニクル』や『海辺のカフカ』は今ひとつ気に入らなかったのだが、これは久々に良いと思っている。

でも最近、ある学生の出身高校にオタマジャクシが降ったなどというニュースが流れ、イワシの降ったところすらあるらしいと聞き、ああ、これは村上春樹だな、と『海辺のカフカ』を思い出した。

2009年6月14日日曜日

お買い物♪

結局、同じくシャープのアクオス、少しだけ大きい26型を買ったのだった。テレヴィジョン受像器の話。ディジタル・ハイヴィジョン用のHDMI端子でつないだら、なるほど、美しい。松井秀喜の鼻毛まで見えそうな勢い。


原稿をひとつ仕上げる。そして明日の授業の予習など。やれやれ。できればこの新規導入のディジタル・ハイヴィジョンTVでも眺めて生きていたいことだ。

2009年6月13日土曜日

ボーナス商戦?

非常勤で行っている法政大学経済学部演習の授業。正式の担当者の意をくみ、エクストラで学生たちの研究発表会というものをやった。市ヶ谷キャンパス内の外濠校舎という新しい校舎。なかなかすてきだった。そして、その後、懇親会。

朝のうちに、あるDVDをチェックしようとTVをつけたら、どうやら壊れた模様。つかなかった。

やれやれ、ボーナスを当て込んでの戦略か?

出始めのころの液晶テレビ、シャープのアクオオス20型で、だいぶ張り込んで買ったのだが、同じ商品、同じサイズなら、今では4分の1ほどしかしないことを知って少し安心。

うーむ。それだけに、あまり長時間TVを見る方ではないぼくとしては、まだ元を取っていないとの意識があるぞ。

市ヶ谷に出かけていく途中、寄った本屋で買ったのが、以下のもの。

チャトウィン、フエンテス『パタゴニア/老いぼれグリンゴ』芹沢真理子/安藤哲行訳(河出書房新社、2009)

池澤夏樹個人編集世界文学全集のII-08。チャトウィンは読んでいないので。

それから、鴨下信一『日本語の学校――声に出して読む〈言葉の豊かさ〉』(平凡社新書、2009)

いとうせいこうが絶賛していた一冊。

2009年6月12日金曜日

いろんなものがやってきた

鹿島茂はいつものごとく黒ずくめでやってきて、原稿も用意せずに1時間と20分ばかり、歴史の表象としての文学の研究について話した。

懇親会。

明けて今日は朝から4コマの授業。疲れた。

帰ったらいろんなものが届いていた。注文していた『チェ』1、2章パック(日活)。

次に、『NHKラジオ まいにちスペイン語』7月号。今回の「愉悦の小説案内」は『ペドロ・パラモ』。まだまだ王道だろうか? 次回あたりは大きく旋回します。おお、そういえば次々回の原稿を入れねば。

しかし、なんといっても特筆すべきはこれ。ロベルト・ボラーニョ『通話』松本健二訳(白水社、2009)


刊行が遅れていたボラーニョ初の翻訳。「通話」「刑事たち」「アン・ムーアの人生」の3部、14編からなる短編集。ああ、今日のうちに読み終えることができないのが残念!

次は『野生の探偵たち』だ。ボラーニョは続々出る。

2009年6月10日水曜日

昔は良かった?

ラテンアメリカ学会は無事終わった。無事かどうかはわからないが、終わった。事前の予想より出席者が多く、コピーなどに思いのほかかけずり回った。

翌日からもう授業だ。休んでいる暇がない。

昔は……昔というのは、大学院の学生や非常勤暮らしをしているころの話、そのころには日曜日に学会に出たら翌日は休んでいたような記憶がある。いや、そもそも月曜日に仕事なんかなかったからだが。ともかく、そのせいか、イベントがあると翌日休まなければ落ち着けない。なんだか失われた日々を生きている気分。

あ、そうそう。明日、大学院多分野交流という授業の一環として、鹿島茂の講演、あります。受講者でなくても出席可。18:15- 422で。

2009年6月5日金曜日

いよいよ大わらわ

明日から2日間、東京外国語大学で開きます。日本ラテンアメリカ学会第30回大会

今日は6時まで授業で、その後、会場の設営やら何やらとたっぷり汗をかいた。あいにくの雨。明日も雨。たぶん。

研究発表、講演など以外に、記録フィルムの上映やら劇団によるパフォーマンスやらと、何やら楽しげだ。非会員でも参加は可。

2009年6月4日木曜日

今さら……か?

今日、10:40から、ジェフ・レッサーの講演会を行います。@107教室。以前、ダウンロードできるようにしたチラシをどうぞ。

ラテンアメリカ学会の講演に招聘した社会学者。今日はその後、学会関係の準備をいろいろとして、それから、留学から帰った学生を迎えての飲み会。まったく、いちばん忙しいはずの金曜日を前に、決まってこんなことがある。

ところで、学会の葉書を整理していて気づいたこと。意外にも2日目午後、締めのシンポジウムだけを聴きに来る(予定)の人が多いということ。ぼくは実はこのシンポ、滅多に出たためしがない。

いろいろなところにいろいろな欲望がある。

2009年6月1日月曜日

気もそぞろ

そういえば、報告を忘れていた。ご恵贈いただいた本。

竹沢泰子編『人種の表象と社会的リアリティ』(岩波書店、2009)

もう6月になった。今週末にはラテンアメリカ学会第30回大会が外語で開催される。その準備に大わらわ……というわけでもないが、気もそぞろ。以前この大学でラテンアメリカ学会が開催されたのは、もう四半世紀ばかりも前のことだとか。意外なことだ。ぼくが学生のころの話だ。当然のことながら、そんなものがあったなどと知らなかった。

今日になってもまだ出欠確認の葉書が届いていた。やれやれ。

焼き肉を食べたり、酒を飲んだり。