2013年8月1日木曜日

地獄の季節

ぼくらにとって7月末は地獄の季節だ。「かつては、私の記憶に狂いがなければ、私の生活は宴だった。ありとあらゆる人の心が開かれ、酒という酒が溢れ流れた宴だった」(宇佐美斉訳)だ。授業を力尽くで終わらせ、試験をつくり、試験をし、そのことで罵声を浴び(なぜだ?)、採点し、採点はまだ終わらず、ここぞとばかりに合宿に行ったり、そして打ちあげ、キックアウト、等々……しかし通常の仕事も続く……

7月下旬最大のイペントは、やはり、「『2666』ナイト第4回」。ゲストはいとうせいこうさん。

「第4部はダンサブルである」とのテーゼがひときわ心に残った。ぼくはつい最近、あるところにこのメガノベルの書評を書き、第4部は辛いけれども、がんばって読め、というような精神論的なアドバイスをしたのだが、ああ! もう少し早くこの言葉を聞いていれば……「第4部は踊りながら読め」と書けたのだけどな。

会場でこの10月から刊行の始まる「ボラーニョ・コレクション」全8巻のフライヤーをいただいた。巻末に訳者ではない人の解説を掲載する形式らしい。以下、( )内は 訳者/解説者

『売女の人殺し』(松本健二/若島正)
『鼻持ちならないガウチョ』(久野量一/青山南)
『通話』〔改訳〕(松本健二/いとうせいこう)
『アメリカ大陸のナチス文学』(野谷文昭/円城塔)
『はるかな星』(斎藤文子/鴻巣友季子)
『第三帝国』(柳原孝敦/都甲幸治)
『ムシュー・パン』(松本健二/いしいしんじ)
『チリ夜想曲』(野谷文昭/小野正嗣)

改訳がひとつ。短編集4作、中編3作、長編1作。松本訳3作(うち1冊は改訳)、野谷訳2作、久野、斎藤、柳原訳各1作ずつ。解説者にひらがなだけの名の人が2人。

以上が、このラインナップの特徴だ。

ふむ。楽しみ♪

ところで、配本はこの順番なのだろうか? 『売女の人殺し』は既に10月刊と明記されているし、『鼻持ちならないガウチョ』もやっているよ、と訳者はおっしゃっていた。『通話』は改訳。ということは、やはり、この順番に配本なんだろうな。『第三帝国』はまだまだ先だ。


あ、いや、……別に安心しているわけではなく……