2013年1月24日木曜日

アイデンティティなど……


言語文化学部主催の講演会、柴田元幸「文学の翻訳」

この講演会は、外語が2学部体制になって、各学部が1年生の進路の指針にと設けたシリーズの一環。だからターゲットは1年生だったのだが、さすがに上級生や大学院生も多く参加した柴田さんの講演会だった。

透明となることを旨とする比較的古典的な翻訳者論をむしろ持っているとする柴田さんは、そうではなくて他者性を顕示させるべきだとする翻訳論に対し、透明性を追求しても透明になり切れることはないのだとして批判。

そうした概論の後、フロアから質問を受けつけて応答、盛り上がったのだった。アイデンティティなんて幻想に囚われるな、など、すてきな応答をされていた。

最初に訳したポール・オースターは『ガラスの街』で、それをやりかけていたら、既に版権を取っていた他の出版社が出版、そのままお蔵入りになっていたのが、20年くらい経って新たに新訳を出すことになり、取り出してみたら、最初、使い物にならないのでは、と恐れたが、実は、さほど訳は変わっていなかった、などという話なども引き出された。

明日は1限から授業だというのに、懇親会にもつき合っていただいた。