2011年4月27日水曜日

視点の転換

イグナシオ・ラモネ『フィデル・カストロ:みずから語る革命家人生』伊高浩昭訳(岩波書店、2011)
Ignacio Ramonet, Fidel Castro: Biografía a dos voces (2004)
の訳。そしてまたこの本はかつてTV用にラモネがカストロに行ったインタビューを再編成したもの。

そのインタビューはかつてNHK-BSで一週間かけて全編放送された。それを観ていたし、原書にもところどころ目は通していたのだが、翻訳は発売されてしばらく、開かずにいたのだった。

オピニオン詩Le monde diplomatique の編集長だったラモネによるまえがきはさすがに示唆に満ちている。「キューバは史上初めて、スペイン、米国、ソ連のいかなる帝国にも従属しない時代に入った。ついに完全な独立を果たし、国際左翼陣営の最左翼として、国際社会のあらゆる進歩主義勢力と連携し、新自由主義とその全体化に対し一大攻勢をかけながら、政治的な第二の人生を迎えたのだ」(XV-XVI)などという指摘には目から鱗が落ちる。

崩壊したソ連に取り残された社会主義の生き残り国なのではない。ソ連帝国から脱却し「第二の人生を迎えた」真の独立国なのだ。うーむ、うまい。