2011年1月22日土曜日

うさぎ、およびテーゼⅠ

昨日、調布(布田駅近く)にある神戸屋レストランで昼食を摂った際、置いてあったので気になって買ってきた「幸せのウサギパイ」。イチゴジャムとカスタードクリームが入った、今年の干支にちなんだパイ。3年のゼミの新年会と5年目の4年生が大学院に進学してもうすぐアルゼンチンに留学することになっている同期の学生のために開いたキックアウト会をはしごして帰った夜中、食べてしまったので、体重計に乗るのが怖い。今日は絶食して過ごそう。

さて、前回、要旨だけ紹介したピグリアの「短編小説についての命題」。掲載元のCiudad Sevaはプエルトリコの作家ルイス・ロペス=ニエベスが立ち上げたサイトで、今では彼の手を離れ、一大プロジェクトと化したものらしい。このサイト内のすべてのセクションはただとする、と書いてある。

そんなわけで、全文を訳してみる。ただし、時間もないので、連載の形式で。タイトルは「短編小説についての命題:ふたつの筋:ふたつのプロットの分析」まずはⅠだ。

メモのノートの一冊に、チェーホフは以下のような逸話を書き留めている。「ある男がモンテカルロでカジノに行き、大金を稼ぐ。男は帰宅して自殺する」。そのうちに書こうと思ったのだろうけど、書かれることはなかったこの話の核心には、短編小説の古典的な形式が濃縮されて詰まっている。

予測可能かつ因習的な内容(賭けをする—負ける—自殺する)を裏切り、この話の展開はパラドクサルである。この逸話は賭けのプロットと自殺のプロットを無関係に見せているかのようだ。このギャップが短編小説の形式の二重性を明確にするためのキーポイントとなる。

第一命題:短編小説では常にふたつのプロットが語られる。

続きは次回。