2009年7月5日日曜日

間一髪

昨日のこと、ちょっとした所用で車で出かけた。帰路、アパートの駐車場までもう数メートルというところで信号が赤に変わった。直前の車が駐車場入り口をふさいでいる。ぎりぎりのところで待ちぼうけを食らったというわけだ。

そのこと自体は珍しいことではない。よくある話だ。目の前で入り口をふさいでいる車に枯葉マーク(というのか? まさかね。高齢者マーク)がついていたことも、まあよくある話。軽トラックで黄色ナンバーだから、何か自営業でも営んでいるのだろう。これもまたいつもの風景。

が、しかし、……信号待ちで停まっているはずの直前の車が少しずつこちらに向かってバックしてくるのだ。

わずかに傾斜がついているので、軽トラだし、ということはマニュアル・トランスミッションだろうから、ブレーキをちゃんと踏んでいなかったりハンドブレーキを上げていなかったりすると、後ずさることもあるだろう、そんな地形だ。この車もそうなのだろう。

ぼくはクラクションを鳴らした。軽く、2度ほど。

気づかない。軽トラはまだ後退を続けている。

少し強めに鳴らした。

……まだ気づかない。

「この☆※*★◎!」と叫びながら(なんと叫んだかは、まあ、秘密だ)力強く、長く鳴らし続けた。事故直後のように。

それでやっと気づいたらしく、慌てて前進し、さらに前にいる車との距離を縮めた。

ふう。助かった。すんでのところで、こちらに何の過失もないのにちんけな事故を起こすところだった。

今日の話、あ、投票日だっけ、都議選? と思って、確認もせずに投票用紙を手に家を飛び出した。

投票所になっている中学の少し手前で、犬ならぬ猫を散歩させていたらしい中年女性が驚いたような顔をしてぼくを見た。ぼくと投票用紙の封筒を見た。彼女はすれ違いざまじろじろと見つめて目を離さない。彼女の連れている太った猫のように胡乱な目だった。

  !

彼女とすれ違い、だいぶ経ってから気づいた。今日は投票日ではなく投票日1週間前なのだ。

やれやれ。子供のころから早とちりで困る。